生物基礎の入試基礎~標準【酸素解離曲線の問題】①
みなさんこんにちは。みにみです。
先日お知らせした企画の記念すべき第一弾!【酸素解離曲線】の入試基礎~標準問題です。(本当は昨日アップ予定でしたが、PCの見すぎで眼精疲労を起こし、少々休息していました…遅くなり申し訳ございません!)
酸素解離曲線の問題のカギはグラフと問題文の読み取り・比例計算。今回は文系の方も参考にできる超基礎~標準レベルの2題を今日・明日のブログで扱います。
<単元>
生物の体内環境・体内環境としての体液
<学習GOAL>
赤血球中にある「ヘモグロビン」の性質が、周囲の酸素(二酸化炭素)濃度によって変化する現象を説明できるようにする。
☆↓今回の参照過去問はこちら↓☆
問題①:2019・埼玉大学理学部分子生物・生体制御【後期】1
☆↓今回のサポートプリントはこちら!☆
*高画質&コピー可能な形式で掲載しようと模索中です…
<ちょっと解説>
呼吸で体内に取り入れられた酸素は、肺で赤血球とくっつき、体内のあらゆる細胞へとその酸素を配りにいきます。この「酸素を肺でくっつける」と「細胞で酸素を離す」という赤血球のはたらき、どのようにコントロールされているのか、ご存じですか?
実は、赤血球(厳密にいえばヘモグロビン)の酸素とのくっつきやすさは「周囲の環境」に左右されるんです。
たとえば、身体に取り込んだ酸素がたくさん存在する肺。ここでは、赤血球は酸素と積極的に結合しようとします。その一方、呼吸が盛んにおこなわれている細胞では、赤血球は呼吸に必要な酸素を手放します。
細かくお話しすると…呼吸が盛ん=二酸化炭素濃度の高い細胞では、細胞に豊富に存在する水と二酸化炭素が
H2O+CO2→H2CO3
という反応を起こします。その後、生成物のH2CO3は
H2CO3→H++HCO3-
と水素イオンを電離。この結果H+の濃度が上昇して、酸性の環境ができあがります
さて、みなさんは「タンパク質の変性」をご存じでしょうか?
身近な例は「目玉焼きで卵の白身が透明→白に変化する」というもの。タンパク質は、周囲のpH(水素イオンの濃度)・温度などにより立体構造が変化。その結果、性質(はたらき・色・硬さetc)も大きく変化。卵の白身が白く・硬く変化してしまうのです。
本題に戻ると…二酸化炭素の発生により、周囲の環境が酸性に変化すると、赤血球中のタンパク質であるヘモグロビンも変性!酸素とくっつきやすい立体構造が崩れてしまい、ヘモグロビンは酸素を手放します。
普段意識することのない「呼吸」ですが、肺と全ての細胞で無意識に上記のような反応が起こっているなんて感動ですね(笑)
<分類と関連問題>
以下、問題ごとの分類。…の後には、ついでに確認したい内容。*の後は関連追加問題。(分類等は私の勝手なものですので参考程度に💦)
(問1) 知識問題…1*ヘムに含まれる金属は?
(問2) 知識問題…2*一次~四次構造について説明せよ。
(問3) 知識問題…3*物質の生合成においてアロステリック酵素が関与することにはどのような利点があるか?
(問4) 知識問題・定番記述
答え:呼吸により酸素の消費が増加すると、組織では二酸化炭素の濃度が上昇する。曲線が(b)から破線(e)に移動することで、酸素濃度が低い組織における酸素の解離が促進され、多くの酸素を組織に供給できる。
(問5) (知識)考察問題
(問6) 考察問題
答え:胎児のヘモグロビンは、低酸素濃度下でも酸素と結合しやすい。出生後も胎児型のヘモグロビンのままだと、身体の組織における酸素解離度が低下し、組織に十分な酸素を供給できなくなる不都合。
(問7) 知識・作業問題…かま状赤血球症は、「遺伝」・「自然選択」などもチェック
(問8) 知識・作業問題…4*ゲノムDNA中の塩基配列に変化が起こったとしても、タンパク質には変化が起こらない場合がある。どのような塩基配列の変化が考えられるか。
*追加問題の答え*
1*Fe(鉄)
2*一次:アミノ酸の配列
二次:αヘリックス・βシートなどのポリペプチド鎖部分構造
三次:二次構造を持つポリペプチドによる、分子全体での複雑な立体構造
四次:複数のポリペプチドが組み合わさってできた立体構造
3*生成物の濃度で物質の生合成が促進・抑制され、過剰な生成物の蓄積、基質の余分な消費を防ぎ、生成物の濃度を一定に保てるため。(60文字)
4*塩基配列が変化しても同じアミノ酸を指定する場合/遺伝子領域と遺伝子領域の間の遺伝情報としてはたらかない領域の塩基配列の変化/イントロン内の塩基配列の変化
※記述問題の答えは、自分で作った解答とパスナビさんの模範解答を参考に制作したものです。表現等、気になる部分がありましたら、コメント等でお知らせください。
今回の問題は、難関校志望者ならすらすら解けてほしいもの。次回【酸素解離曲線の問題】②では、計算問題もご紹介します。
それでは!